EMBALMING...12

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その日の夜、 『俺も、エンバーマーになる。』 夕食が済んで間もなくし 食後のコーヒーを飲んでいたのだが そう話を切り出したため 春海は一瞬、動きを止めたが またすぐに煙草を吸い始めた。 春海『お前が初めて自分で選んだ道だ。...いいエンバーマーになれよ』 欒『嗚呼。応えてみせるよ。春海には世話になってばかりで頭が上がんねーな』笑 春海『お前でも、人を敬う心があったんだな』笑 わざと憎まれ口を叩く春海に 欒『どうやら俺も人間らしいよ』 春海『ははっ。当然だろう』笑 欒『ハル、魂ってのは存在すんのかなぁ?』 春海『さぁな...』 欒『バケて出てきたらどうする?』 おどけて見せる欒に 春海『そうだなぁ...可愛いレディなら捕まえてキスでもするぜ?』 欒『っっっ!!!』 少し笑いながら 余りにらしくない事を言ったので返り討ちにあった気になった。 欒『やな奴ぅ!風呂っ』 扉を開けて出て行こうとすると春海が呼び止めた。 春海『欒。』 欒『んー?』 春海『お前は、愛する者をエンバーミング出来るか?』 今度は真面目な顔で聞いてきたので戸惑ったが少し間を置き、 欒『わかんねーよ...。』 と言って部屋を出た。 これが、俺の人生が変わった日。
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