EMBALMING...last name

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『....カ..』 何...聞こえない。 『...サ...マド.....』 春海? 春海なのか? 何て言ったんだ...もう一度 春海 『.....サヨナラ.....』 リーン..... 静寂の闇に鈴が一鳴り ハッと目を覚ますと俺は ソファーに横たわったまま寝てしまっていたらしい。 汗がびっしょり濡れ額から汗が滴った..... ここ最近忙しく過ごしていたせいか 何だか嫌な夢を見たような。 キッチンへ行きコンロに火を付け 珈琲を沸かしてから注ぎたての香ばしい香り漂うカップを持ち ソファーに腰掛けテレビの電源を入れた。 午前4:26分。 チャンネルを幾ら回しても どの番組も、くだらなくニュースで持ちきりだ。 人の不幸は蜜の味とも言わんばかりに どのメディアも世の中の非道性を吊し上げた話題で持ちきりだ。 また国際問題とあらば毎日がその話題の繰り返しで 常に発展を求めている。 何か起こればいいと。 何か起これば面白いとメディアは目を離さない。 視聴者はそれで満足なのだろう。 誰かの上に成り立つ自分の幸せを見て。 誰かと比べる事でしか自分の幸せを見い出せない愚かさを嘆く事も無く 偽善的な配慮を義務的に振り撒く。 どんな思いで死にゆく人がいるか知りもせず... 人々はどんな悪人であろうとも死にゆく際には 人間の顔に戻って逝く。 俺はその意志を 尊厳を守りたい。
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