EMBALMING...2

2/2
71人が本棚に入れています
本棚に追加
/53ページ
エンバーマーになる事を決心したのは18の頃。 俺は施設で保護を受けて育ち 親の顔など知らず 新生児の段階で親に廃棄物として捨てられていた所を保護されたと云う。 俺は廃棄物から生まれたのだ。 施設の中でも孤立した存在で他人との関わりを一切断ち 施設にいる他の連中と暴力沙汰を起こしては暴れまわる 所謂、問題児で 1日の大半を反省室で過ごすのは日常だった。 別に構わない。他人との接触は好きじゃない。仲間と云えども馴れ合いなんかガラじゃないし性に合わない。 下手な馴れ合いなんかより1人でいた方がよっぽど良かった。 好かれる事なんか求めちゃいないし 愛情なんか求めてはいない。 愛し方なんか知るわけがないし。 愛情なんか知るわけない。 求められるより 拒んだ方が楽。 愛されるより 嫌われている方が楽だ。 何もかもがどうでもいいし。 興味も無い。 施設の連中が寄って来ようと 相手が女であろうと全てに対して拒絶をしていた。 聞かれた事に対しても 『何て答えれば満足なの?』 って答えるような酷い人間だった。 唯一心を開いていたのは この施設を出身の人間で、たまに遊びに来る物好きな奴だけ。 せっかく此処から出たのに来るなんてよっぽど物好きだと思っていた。 それでも、彼だけは兄貴の様に慕っていた。 こいつが俺をエンバーマーとしての道に進む事を決心させた切欠となったのだ。
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!