伝。

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『いってきます』 あたしは靴をはいて玄関を出ようとしたら、母さんに引き止められた。 『ちょっと!待ちなさいよ、弁当』 右手に持ってた弁当を『あ、あぶねっ』苦笑いで受け取り、外に出た。 『いってらっしゃい』 『何か林檎、元気になったな』 あたしがいなくなってから、母さんの後ろから父さんが出てきて呟く。母さんは笑顔で頷いた。 『とりあえず良かった感じがする』 『まあな。お前にそっくりで行動に出やすいんだからよー、すぐ分かるっての』 そう言うと、母さんは顔を真っ赤にして 『そ、そんなことないっ』 父さんはそれを見て、意味深にニヤけた。 弁当を家の前で鞄にしまっていると、自転車の音が近付いてきて止まった。 『おはよ、林檎』 目を擦り、ボサボサの髪の毛を少しいじりながら翔斗が言った。 『お、おはよう。』 あたしはその様子をちょっと笑いながら返す。 鞄に弁当を入れ終えて歩き出すと、翔斗も一緒に歩き出した。 『ちょっと!ついてくるの?』 『あー?そうだけど。駄目?』 あたしは顔をしかめ、翔斗を睨み再び前を見た。 『別に。いいよ』 終。
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