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『あれから、考えたんだけどっ』
うわずった声が焦る気持ちと分からせる。あたしは深呼吸をして、落ち着かせた。
『翔斗は幼馴染みだったし。今もだけど。だけど』
あたしは言った。
『こっちに帰ってきてから、翔斗変わったし。あたし何にもアンタのこと分かってないって、気付いたんだよね』
『うん……』
弱々しく相槌をうつ翔斗。
『だからあたしアンタと――翔斗と向かいあいたいよ』
あたしは言った。
でも、翔斗は目をぱちくりとさせていた。ちゃんと返事してないから、当たり前だ。
『翔斗とはまだ、付き合えない。あたし翔斗のこと何も知らないから。』
『…………』
軽く唇を噛み締めた翔斗を見て、あたしは少し気管が詰まった感じがしてきた。自分もつらくなってくる。
『だから、アンタと向き合って――もっと翔斗のこと理解したら、あたしから告白する』
翔斗は目を見開いてあたしを見た。
『林檎から……?』
その時の翔斗は少し笑っていたような、嬉しそうだったような気がした。
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