娘。

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『起きてー林檎、学校だよ』 『んー……』 布団のなかでモゾモゾと動き回っていると、いきなり光が差し込んで来た。 『起きないと襲うぞ?』 耳元で囁かれあたしは飛び起きた。と、同時に笑い声が隣から聞こえて、睨む。 『このクソ親父!』 『ハッハッ、本当にお前はゆずにそっくりだな』 布団から出て、腰をけり飛ばすした。 『その反抗的なとこは似てねえなあ』 最悪である。お父さんにこんなので起こされるのは、きっとあたしだけだろう。もう四十そこらの奴なのに、何でこんな―― 『林檎ってば。ホラ遅れる』 お母さんは可愛らしくていいのに、お父さんにはあまり反抗しない。年下だからか、お父さんが口上手いからか。 朝食の並んだテーブルに座る。 『ま、また変な起こし方したんですか?』 『別に。お前と同じだ』 『なっ――林檎が可哀相ですっ!』 あたしは毎日、お母さんは顔を赤くしてると思う。
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