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バスを待っていると真っ黒い服の人達がが此方へ来た。
一目見れば、葬式に向かう途中だとわかった。
その人達は私と違い専用のバス待ちなのだろう。行列を作って待っていた。
そんな中、白い服を来た自分が何だか酷く場違いのような気がして思わずうつ向いた。
今日、誰かが空へ消えてく。誰だかは知らないけど、確かに消えていく。
その内快晴なこの空へ白い煙が立ち上るのだろう。
「先生も最後まで頑張りましたね。本当に」
「ええ。全部皆様のおかげです」
多分その「先生」の妻であろう人がそう言いながら微笑んだ。
辛い時でも人はあーに簡単に笑えるものなんだ、と感心した。
「命に限りがあるから、頑張れるんです。主人もそう感じたんだと思います」
「そうですね」
お互いが微笑んでいる。
黒い服には似合わない優しい笑顔で。
それを見てるとなんだか滑稽で、矛盾だらけだと思った。
だけども彼女らの溢れる愛情は、他者である私にも伝わった。
私が死んだ後もこんな風に想ってくれる人がいるのだろうか。
でもそれは悲しい答えしか出ないのはわかっていたので、私は考えるのを止めた。
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