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バスの振動に合わせながら一番後ろの窓側へと腰掛けた。
眩しいくらいの太陽。
少し汗ばんだ背中を、クーラーが冷やしていく。
不意に私は空を眺める。
先ほど見た時と同じ雲一つない快晴だ。
私が消える日もこんな空だったらいいのに。
誰も泣きたくなくなるような、綺麗な空だったらいいのに。
目を瞑った。
浮かぶのは、
さっきの人達の
あの優しい笑顔。
あの哀しい泣き顔。
……「先生」、あなたってすごい幸せ者なんですね、って小さく呟いた。
そしてそっと目を開けてみると
顔を知らないはずの
「先生」が
確かに優しく微笑んだ
一筋の涙を流しながら
end
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