赤紙

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俺には父と兄が居る。二人とも沖縄に居るらしい… 手紙は来るが始めに比べ返事が届くのが遅くなってきた。母さんも淋しいのだろ… いつも明るく俺に接してくれるが夜な夜な手紙を読み返しているみたいだ。 其を見ていると胸が苦しく感じる… 「俺がしっかりしないと!」と思い頬をビシッと叩いて気合いを入れた。 痛かった…。強く叩きすぎたみたいで目から涙が出てきた。 母さんもビシッという音に驚いたのか台所から顔を覗かせ、不安そうな表情で「どうしたの?」 と言ってきた。 俺はヒリヒリする頬を押さえながら 「虫が止まったもんだからさ…あははは」 と言い訳していると戸を叩く音がした。
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