第三章

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 ふわふわ真っ白なウサギが、何食わぬ顔と、落ち着いた足取りで、通り過ぎていく。 「べ、弁当盗難ウサギ!」 「因幡さん!」  キティのが、少し遅れて言った。こいつが因幡さん、おのれ元凶がなければあたしは鎌倉で昼食タイム……。 「あー!」  因幡さんの口元に、ソースがついている。あれはきっと弁当の中のカニクリームコロッケのソース! 「食ったのか、食ったんだな!?」  因幡さんは無言無視。あたしなんていないみたいな扱い。 「ウサギはウサギらしく、にんじんを食え!」  あたしが叫んで驚いたのか、因幡さんは突然、前方に駆け出してしまった。 「追うぞ」  咄嗟にキティに言われ、因幡さんを追い掛ける、つもりが転ける。  だって、突然だったから、足がもつれて砂に持っていかれたんだ!口の中やだ、ちょっと、砂、食べたぞ。 「生きてるか?死んでるなら返事をしろ」 「死んだの前提に話しかけるな!」  キティは、生きてたか、と面白くなさそうに言う。その間に制服についた砂をはらう。余計な労働。 「これにつまづいたのか」  キティが砂に埋もれかけたなにかを蹴飛ばした。拾い上げると、金色の懐中時計が出てきた。
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