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「では、パインケーキを切り分けよう。アリスの分はやや大きめに!!」
「アリス万歳!!」
聖歌だったら食べられなかったのかな。だとしたら、アリスも悪くないね。
「切り分けました!」
パインケーキなんてどこにあったんだ。いやいや、気にしないでおこう。あたしのために食べさせてくれるのだから!
「どうぞアリス。ついでにキティ」
アヒルが上手に羽根の先に皿を乗せ、あたしに渡してくれた。
「このシロップをかけるとより一層美味しくなりますよ、ひっひー!」
ワシの子がかけるシロップはとろーりとしていてめちゃめちゃ美味そう。
「俺、いらない」
「食べないの?」
「あんたも、食うな」
キティは皿を受け取らない上に、あたしに食べるなと言ってきた。ワシの子とキティの間には見えない火花が散っている。
「キティは食べなくてもいい。だが、アリスの邪魔をするのは許さない!」
「うるさい、死ね」
「ちょっと、キティさん」
非常識だ。あっちは好意でやってくれているのに。気にくわないからって、そりゃないだろ。
「どうしたの?喧嘩は駄目だよ」
「でも隊長、キティが!」
ワシの子が文句を言おうとドードーに向かって喚いたが、ドードーがなだめる。
「キティにはキティなりの考えがあるのだろうよ。だが、肝心なのはアリスの気持ちだ!我々は食べて欲しいが、アリスが食べたくないというのなら仕方がない!!涙を飲んで諦めよう!」
断りづらい。
「や、でも、美味しそうだし……」
ケーキを食べたからって死なない。そう思っていたのだが、あたしは忘れていた。
「さっき小さくなるクッキーを見て、今、大きくなるソースを見た。それでも食うか?」
キティと会ってから、マトモな食べ物を見てないのだ。このケーキも例外ではないかもしれない。
「デマだ!証拠はあるのか!!」
批判されて、沸点低すぎのカササギは言った。もしカササギの言う通りに、好意で出されたものなら、怒るのも無理はないのだが、
「じゃあお前、食えよ」
キティが言うと、カササギは声を飲み込むように黙り込んでしまった。
「なに……」
どうなってんだ。
黙り込まなきゃいけないようなものを、喰わせようとしたのか?
「ドードー」
「なんだいアリス」
「このケーキ、なに?」
「パインケーキさ!とっても美味しいから是非食べてくれたまえ。ほらほら、冷めてしまうよー」
ドードーにおかしな様子はない。しかし、何故急かす?
「なにが入ってる?」
「だから、パインだよアリス。細かい材料までは覚えてない。さぁさ、いい食べっぷりを見せてくれ!」
「食べなきゃだめ?」
「無理強いはしない。アリスに任せるよ」
と言いつつも、食べろと言われたようなものだ。皿を無理矢理押しつけられて、フォークを握らされた。
「話にならないな」
キティは皿のケーキを素手で掴み、
「どうなるか見てろ」
口に入れてしまった。
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