第二章

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  「あんたのせいだ。クッキーを食べたから小さくなった」 「クッキーで?冗談は止せやい」 「冗談じゃないから、俺はこんなに小さくなってるんだぞ」 「あっそ、ごめんね。それで何味だった?」 「……チェリー・タルトとカスタードとパイナップルと、ロースト・ターキーとタフィーと焼きたてのバター・トーストをいっしょくたにしたような味」  長すぎて聞き取れない。日本人だから、タフィーが分からない。パイナップルとバタートーストとか、食べ合わせ悪そう。 「小さくなる成分を知っていた上で、食べさせようとしたのか」 「そうだ」  捕まえてきつく手で握れば潰れてしまいそうな大きさのキティ。状況を理解していないのか、口のきき方を気を付けない。 「その結果がこれだ、ざまあみろだぜ。さ、早く出口に案内しろ。でないと、踏み潰すぞ」 「そうか。で、小さくなってもらおうと思ったのには、それなりの理由がある」  勝手に話が進む。冗談だと思われている。 「回りくどい説明はいいから、本気だからな、本気で潰すぞ」 「はいはい、あそこにドアがあるだろ?あれを通ってもらいたかったんだよ」  キティは2つあるドアのうち、小さな方を言っているのだ。そうね、小さくなれば通れるわねって、悪夢!どこからが夢だ?ウサギを追い掛け始めてから、すっかりあたしの世界観がぶち壊しだ。  服着たウサギ、変な地下、小さくなるクッキーに、目の前の馬鹿。普通の鎌倉観光じゃあ、見れないぞ。
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