第二章

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  「大きいドアじゃだめなの?」 「鍵がかかっているからな。俺が反対側に行ってドアを開けるか、あんたもクッキーを食べるかだ。中々、美味いよ」 「小さくなるのは嫌」  危険な物は食べない。  知らない土地で食べたものは体調を壊す元になる。ましてや、体が小さくなるなんて、問題外だ。 「すぐ開けるから、勝手に動くなよ」  彼がドアノブまで届くのか疑問だが、頑張って開けてくれるらしい。健気なことだ、さっさと開けて欲しい。  やっと出られる。早く日の光がみたい。  キティがドアの奥に消えていく。あたしが中を見ようとすると、向こう側からさっとドアを閉められた。行儀がいいことで。  大きいドアに耳をそばだてて、あっち側の様子を探る。音がする。打ち付けるような音だ。なんだか、聞いたことある。 「まだー?」  軽くノック、返事なし。  コンコン。  コンコン。  コンコンコンコンコン。  ココココココココココ――ゴンッ!  連続でノック、いや、ドアを殴っていたらあちら側からも殴る音がした。いい加減にしろコールだろう。気に食わない彼をイラつかせるためにやっているから、大成功だ。  それからしばらくしてノックが返ってきた。で、このドアは押しドア。間違えないぞ。
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