第一章

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 江ノ電を降りたら江ノ島はすぐだ。寒い、寒い。ここからは、班のメンバーが分裂する。岩屋に行く組と、香水瓶美術館に行く組。岩屋組はあたしと優子。あとの3人は美術館。香水を見ても面白みがないだろ、臭いだろ。トイレ用スプレーをシューっとしとけ。  その後は恋人の丘周辺で待ち合わせ。彼氏いないくせに痛いぞ、あたし達。できたら、四ッ谷くんと、なんて。優子自身はどう思ってるんだか知らないが、四ッ谷くんとお似合いなのは優子だと思う。内面的に。 「また後でねー」  人の気も知らないで、るんるんで手を振っている優子は、同性から見ても可愛い。可愛いぞ、くそう。 「私達も行こうか」  振り返りながらの優子のにっこりに、落ちない男はいるのだろうか。見習うべく、あたしもにっこりと笑ってみる。 「そうだね」 「どうしたの?」  疑問視された。切ない。 「優子の真似」 「えー、私ってそんな感じ?」  優子はわざと意識して口角を上げる。うん、可愛い。わずかにある女子力を上げるためにも、優子を見習うべきだなと再確認できた。 「岩屋ってどっち?」 「ええと、あっち?」  江ノ島は道なりに沿って行けば、なんとなくでも岩屋に着く。橋を渡ってすぐのお土産屋さんを横目に、青銅の鳥居をくぐった。  しかし見知らぬ土地だ、道案内してくれる人がいたら良かったなあ。例えば地元のかっこいいお兄さんとかね。
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