第一章

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  「誰かーっ!誰かあああ!!」  待てだの、止まれだの、言われて止まる馬鹿は、そうそういない。ウサギさんは止まらない。ベンチに荷物を置いてきてしまったが、すぐに追い詰めてみせる。……みせたいが、ウサギさんめちゃくちゃ足が早いんですけど!  二足歩行するウサギさんに弁当とられました。なんて言ったら、確実に精神科に行くことをお薦めされる。シャレにならないよ。 「止まらないとウサギ料理!!」  脅してみたけど逆効果だったらしく、ウサギさんは素晴らしいスピードで走られている。止まったらウサギ料理にされるのであたり前か。  でも、そんなに頑張らなくてもいいんじゃない!?追い付くどころか引き離されている。うーん、そろそろ乙女の体力では追い付くのは無理かもしれない。  しかし、チャンス到来。ウサギさんは目の前に現れた穴、岩屋に入り込んだ。岩屋なら、ウサギが行き止まりの場所に行けばあたしでも追い付けるはず。  いやいや、弁当のために全力疾走ぉ!!
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