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「ええと」
言葉を探る。
「あたしは落ちたんですよね。助けてくださって、ありがとうございます。ここから出口って、どうやったら行けますかね?」
立ち上がって出口を探そうとする。と、男があたしの腕を引っ張た。実に分かりやすいスッキリとした音を立てて、あたしは地面に舞い戻った。つまり、尻餅ついた。
「いってぇ、なんだよ!!」
「勝手に転けたのはそっち」
鼻で笑われる。いきなり手を掴んだのはあっち。あたしは悪くない。
「用があるなら口で言えばいいでしょう!耳はついていますから、言えば聞こえます」
「そう。俺には耳がないから、気がつかなかった」
冗談、というか皮肉を言って男は立ち上がった。
「キティだ」
さっきとはうって変わった笑みがなく、だるそうな男。なんとまあ、可愛らしい名前だこと。仮名だな、馬鹿にされている。
「出口は?」
「出口はいいから、名を名乗れ、馬鹿」
ハイ、馬鹿はこっちの台詞ー、言いたいのはあたしー!!
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