王子

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「おぅ、志安じゃねーか」 漁船から降りてきた一人の少年が志安に近寄って来た。 「ラグ、おはよ。今日はどうだった??」 ラグは魚の入った箱を見ながら、左目の下にある逆三角の刺青のあたりを掻いた。 「ぅーん…まずまずかな??まぁでもこれなら今日明日の分は十分稼げるな。」 ラグは漁師の息子。 父と母、幼い弟と4人で漁をしている。 漁は彼らの生活を支える重要な生命線だ。 志安とは港で出会って以来、いつの間にか仲良くなっていた。 「それじゃぁ、魚持ってくから待ってろよ。」 そう言ってラグは魚の箱を重そうに抱えて市場へ向かった。 『俺と同い年なのに偉いよなぁ…』 ラグの背中を見送りながらしみじみと志安は思った。
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