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「あ、そ、それとね、お姉ちゃんの好きな人がそこを受験するのよ!」
たちまち、アタシの興味は逸れた。
「あ、それってあの写真の人!?」
机の左側に置いてある、小さな写真立てを指差す。
そこには、穏やかな顔つきの男の人が写っていた。
「そう、小沢祐クン。」
お姉ちゃんは少し子供っぽく微笑むと、写真立てを両手に抱えた。
「同じクラスの男の子でね…お姉ちゃんが嫌な先生や生徒に怒られたとき、いつも正しい事を言い返してかばってくれるのよ。そのせいで、よくトラブルに巻き込まれちゃうんだけど。」
楽しそうに話すお姉ちゃんを見てると、なんだかアタシまで嬉しくなってくる。
「それでね、同じ高校に合格できたら、告白しようと思うの。」
「わあ…お姉ちゃんオトナだ!頑張って!」
「ふふ…ありがとね、舞。」
普段は落ち着いていて大人っぽいお姉ちゃんが、本当に子供みたいに楽しそうにだった。
アタシもお姉ちゃんみたいに「恋」をしたら、楽しいかな…?
ふと、シロウサギの顔が頭に浮かんだ。
…ってシロウサギは女の子だよ!?
アタシ何考えてんだろ。
首をブンブン振って、今の想像を否定した。
「舞…?」
「あ、何でもないから平気平気!じゃ、勉強も恋も頑張ってね!」
怪訝そうな顔をするお姉ちゃんにそう言うと、アタシは部屋を飛び出した。
心臓がドキドキしてるのは、きっと気のせいだ…。
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