8月2日

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「な…」 驚愕の声をあげる丑三。 銀色の刃は、自分の白い髪を数本刻むだけに終わった。 更にそれだけではなく、『気づくと』ボクは丑三の懐から脱出し、コートの端まで移動していた。 「貴様…何をした?」 訝しげな表情で丑三は睨むが、もちろん馬鹿正直に教えたりはしない。 まあ驚くのも無理はないだろう。 なんせ、当の本人である自分すら、ここに移動しようと思ったわけではないのだから。 「答えよ!」 背後から嗄れた声。 丑三は再びボクの背後へ回り込み、ナイフを振りかぶっていた。 目前まで迫る銀色の刃。 当然、回避などできるはずもない。 …通常ならば。 人間であれ光喰らいであれ、そんな状況に陥れば、目をつむるなり何なり反射的に何か行動をとろうと『意識する』だろう。
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