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「わぁ…冷たいね…」
足をちゃぷちゃぷさせながら楽しそうに微笑む。
その笑顔を見てると、なんだかアタシも楽しくなってきた。
「もっと真ん中まで行ってみよ!」
そう誘って、シロウサギの小さな手を握りながら、もう少し深いところまで歩いていく。
つるつるした岩に足を滑らせないように気をつけながら進むのは、なかなか大変だった。
最初は膝までしか浸かっていなかった冷たい水は、だんだん太ももの辺りまで上がってくる。
「マイ、おっきな魚がいるよ!」
麦わら帽子を押さえていた片手を離して、少し前の方にある巨大な岩を指差し、嬉しそうな声を上げるシロウサギ。
そこにはかなり大きな黒色の魚が、岩陰に佇んでいた。
「わ、大きい……」
思わず目がまん丸になる。
「アタシが晩ご飯のおかずに食べる魚よりも、ずっとずっと大きいよ…」
それよりも2、3倍はありそう。
シロウサギと一緒に食べても、余っちゃうかもしれない。
大きな魚はヒレと尻尾をひらひらさせたまま動かない。
あ、いいこと思いついた。
「ね、あの魚捕まえてみない?」
岩陰を見つめながらアタシは提案する。
「え…魚って水の中だとすごく速いんでしょ?」
「うん。だから、アタシとシロウサギで挟み撃ちにしちゃうの。」
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