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作戦を説明する。
まず二手に別れて、アタシが魚に近づいて行く。
そしてワザと波をおこして反対側へ追いやり、待ちかまえていたシロウサギが捕まえる。
「ふふ。お魚ハンターマイの実力、恐れ入ったか!」
「まだ成功してもいないんじゃ…ひひゃひほはひ!」
「口答えするのはこのマシュマロかね!?」
滑らかな白いほっぺたをしばらくこねくり回してから、アタシ達は所定の位置についた。
「作戦開始ー!」
「う、うまくいくかなぁ…」
白い少年はほっぺを撫でながら、心配そうな顔をする。
ふっ…マイさまの実力を見せてやる!
アタシはゆっくり、ゆっくりと岩陰に近づいていく。
波をたてないよう、慎重に。
…むむ、ちょっと緊張してきたよ?
石に足をとられないよう、アタシはものすごく集中していた。
だから、いつの間にか川の水が、アタシの胸の辺りまで迫っていたことに気づかなかった。
「マイ!」
シロウサギの声。
えっ?と思ったときにはもう遅く、アタシは足場にしていた石を踏み外し、「ザブン」と水の中に沈んでいた。
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