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雪のように白い髪を腰のあたりまで伸ばした彼女は、真っ白なワンピースを身に着けていた。
眠っているのだろう、瞼の閉じられたその顔は、まるで人形の様に整った容姿をしていた。
「…アタシと同い年くらいかな?」
そう呟いた瞬間、そのコは目をパチッと開けて―――ルビーみたいに綺麗な紅い瞳だった―――飛び上がった。
ゴチッ
「あぅ」
勢いよく起き上がったために額を木の枝にぶつけ、うずくまってしまう。
さっきの神秘的な雰囲気が幻ではないかと疑いたくなるような間抜けっぷりだ。
「へいき?」
「………ちょっと、大丈夫じゃないかも…」
透き通った、高いソプラノの声。
涙目になっている瞳は、やっぱり紅い色
をしている。
「か、カワイい……!」
「えっ…?や、ちょ…なに…」
彼女が嫌がるのを無視して、アタシはこの白い女の子を弄くりまわした。
ほっぺたを抓ってみたら、マシュマロみたいにふわふわしてた。
手をにぎにぎしてみたらスベスベ。
胸を触ってみたが、アタシと大差なかった。
「んぁ…ちょっ、くすぐった……ぁ、ゃめ……」
女の子は頬を蒸気させながら、ズルズルと再び木の根元に座り込んでしまった。
「うふふ…もう、カワイいなぁ…」
なんだろ?
頬を染めて、瞳を潤ませながら上目遣いにこっちを見上げてるこのコ見てると…なんだか…ゾクゾクしちゃう。
「うぅ…キミ、人間なのに怖いよぉ」
涙目の白い女の子は、不思議なコトを言った。
「人間なのに、って…アナタは人間じゃないの?」
女の子はコクリと頷いた。
…?
「あ、わかった!宇宙人だぁ」
うん、アタシってスゴい。
……あれ、首を横に振ってる。
むむむむ…難しい?
考え込むアタシを少し怯えた表情で女の子は見つめてきた。
ああもうカワイい!
悶えるアタシを怪訝そうに見ながらも、女の子はおずおずと口を開く。
「ボクは…光喰らいなんだ…」
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