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「わ…びしょびしょ…」
シロウサギに手を引かれながら河原に上がり、アタシは自分の服を確認した。
川の水をたっぷり吸ったワンピースは肌にピッタリと張り付き、その感覚がなんだか気持ち悪い。
おまけにパンツもぐちょぐちょ。
「もー!何であそこだけあんな深いのぉ!?」
先ほど沈んだ岩の辺りに向かって、アタシは思い切り悪態を吐く。
「あそこが急に深くなってるんじゃなくて、だんだんそうなってるんだよ…。水が胸まできてたのに、マイは全然気づいてなかったし…」
むぅ…真実を指摘された。
シロウサギを見ると、彼も全身びしょ濡れだった。
沈んだアタシを心配して、助けに来てくれたらしい。
…らしい、というのは、気づくと、いつの間にか小さな手に引かれて、川の浅い場所を歩いていたからだ。
以前のテニスコートのときと同じで、何となくシロウサギのおかげだってコトは分かったけど、どうやったのか訊いても、彼は微笑むだけで教えてくれなかった。
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