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ただ、実際シロウサギが助けてくれなかったら溺れかけていたかもしれないので、アタシはとりあえずお礼を言うことにした。
「あ、それよりさっきはありがとう。シロウサギのおかげで助かったよ!」
シロウサギはくすぐったそうに照れ笑いを浮かべる。
「ううん。でもびっくりしちゃった。マイが無事でよかったよ」
…その言葉に、アタシは胸がドキリとするのを感じた。
な、なんだろ?
すごくあったかい気持ち。
濡れた麦わら帽子をいじるシロウサギが、何だかとっても頼もしく見える。
「…?マイ、どうしたの?」
彼が不思議そうに首をかしげると、水に濡れた白い髪が、光を反射させてキラキラ輝く。
それがまた神秘的で、アタシの胸が更に高鳴る。
…もしかしたら、アタシ…。
そこでやっと、この高鳴りの正体に気づく。
ううん、ずっと前から気づいてた。
ただ、あの時はシロウサギが女の子だと思ってたから、知らないフリをしてたんだ。
「シロウサギ。」
「え?」
アタシは、目の前の真っ白な男の子に、体ごと向き直る。
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