1057人が本棚に入れています
本棚に追加
/314ページ
小さいステージで私とリュウは立ち止まり、何となく出る前に城崎先輩に教わった、和をイメージしたという緩やかなポーズをとった。
「……美しい。」
誰かの、呟きに等しい大きさの声が、やたらと響いて、消えていった。
ざわざわ…
それが引き金となったのか、体育館内は徐々に声を取り戻していった。
横目に、リュウを見てみる。
光の下で見たものとは違う、何かとてつもなく綺麗なもの、が、そこにあった。
……確かに美しい………
どうしようもなくその肩が、足が、髪が、瞳が、色気を放っている。
……凄まじいな……リュウ…お前は……
暗く深い空間。
スポットライトで切り抜かれた明るい床。
………こりゃ、逆効果かもな……リュウファンには…
釣り合ってねぇよ。
………誰よりも一番近くにいるリュウが、とても遠くにいるような気がした。
.
最初のコメントを投稿しよう!