見えない会社

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「ところで…お前、風間 健太っていう男知ってるか?」 「知ってるぜ。このクラスの隣りで…俺の友達」 「そうなのか。今日来てるか?」 「来てるけど…健太になんか用か?」 「まぁ…ちょっとな。お前、そいつのところまで案内してくれ。」 「あ…あぁ。いいぜ」 そして雄太はエミを隣りの3年1組に連れていき、教室で座っている健太を指さしエミに案内した。 健太は無表情で机を見ていた。 「なるほど…確かにいじめられてそうな奴だ」 エミがぼそって言うと雄太はエミを見る。 「どうして健太がいじめられているってわかったんだ?」 「…お前には関係ない」 エミの言葉に雄太はムスっとした。 するとクラスの一人がノートの紙を破り、グシャグシャにして健太になげた。 健太の頭に見事にあたると、当てたやつは近くにいた人と笑い合っている。 健太は何も言わなくずっと机を見ている。 エミは雄太を見た。 「……?」 「何でお前、行かないんだ?」 「は?」 「友達じゃないのか?健太っていう奴と。 あんな事されているのに友達であるお前は黙って見ているのか?」 雄太は下を向いた。もしここで助けに行けば、自分もいじめられると思ったからだ。 「友達でも…昔の友達なんだ。」 「ほう。そうか…よくわかったよ。昔の友達だからもう知らんぷりって意味だな。 お前も、いじめている人の仲間に入るな。」 「どういう事だ?」 「意味わからないのか? お前はいじめられているところを見ている。 何か言おうともしない…って事はつまり、いじめている人と同じ その人の事をいじめてもいいですよーって思ってると一緒なんだよ。 それでよく、私と友達になりたいなんて言えるものだ。」 そうエミは言うと健太がいる教室に入っていった。 「なんなんだよ…」 「おい、そこのやつ。なぜ紙を健太になげた。」 紙を投げた奴がエミを見る。 「あ?あんた誰だ・・・・・あぁ、2組の転入生か。」 「質問に答えろ。健太にいじめるのはなぜだ」 「いじめる? 俺がそんな事するわけないだろ。 なぁ?みんな」 そう言うとみんなは頷いた。 エミはだんだんと怖い表情になっていく。
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