消えた声

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「お婆ちゃん、早く行くよ」 晴海だ。少し暗めの道を晴海とそのお婆ちゃんとで歩いていた。 晴海は母親がいなく、父とお婆ちゃんとお爺ちゃんとで暮らしている。 晴海はお母さんみたいなお婆ちゃんが大好きだった。 「ハイハイ…年をとると足が遅くなるもんでね。」 「何言ってるの。お婆ちゃん…荷物持ってあげるからさ。」 晴海はお婆ちゃんの荷物を持ってあげた。 お婆ちゃんは笑顔で礼を言う。 2人は青信号で道路を渡ろうとした時、横から凄いスピードを出してくるバイクがきた。 晴海はとっさにお婆ちゃんの目の前に行く。 するとバイクはギリギリのところで止まった。 「ちょっと、そこの人…ちゃんと前を向きなさいよ。 お婆ちゃんにぶつかるところだったじゃない。 信号を無視すんな。」 「はぁ? たらたら歩いてる方が悪いんだよ。 ボケ」 晴海がきれて、男の胸ぐらを掴むと いきよいよく飛ばした。 「いてぇ…」 「ふざけんじゃないわよ。」 「あぁ?やんのか?お前…」 「やるに決まってんじゃないの。」 「待ちなさい。いいのよ…晴海、お婆ちゃんが悪いのよ」 「お婆ちゃん…だってどう見ても、この人が悪いに…」 「おばあちゃんなら、ほら この通り!元気だから大丈夫よ」 「そのババアの言う通りだ。何もケガさせてねぇからいいんだよ。」 「ババアじゃないわよ。」 晴海が言うと男はバイクに乗った。 「うっせぇ。」 そう言って男は行ってしまった。
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