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『………………』
僕は、無言のまま少年を見つめていた。
すると少年は、僕に気付いたのか振り向いた。
『……あ。有沢くん…』
少年は、同じクラスの有沢高貴くんだった。
有沢くんは、クラスでも明るくムードメーカー的存在な人だ。
オタクの僕とかけ離れた存在。
僕は正直言って、有沢くんのタイプは苦手だ。
僕が一人考えていると、有沢くんが話しかけてきた。
「お前…同じクラスの深見正樹だよな?」
なんで…僕の事を?
「クラスでも、地味で目立たないオタク眼鏡ってみんな言ってるし…よく知ってるよ」
あぁ…みんな僕の事…そんな風に思ってるんだ…。
「でも、俺は深見の事そんな風に思ってねぇぜ?」
え…?
「深見は、人一倍努力者だって知ってる。俺、そんな深見が好きだぜ」
ドキン……
な、ナニコレ?
ドキンって…
え?
…なに……
か、顔が熱い…
顔が赤い僕に、気が付き有沢くんが僕に近づいてきた。
「だ、大丈夫か?」
『!!!!!/////』
顔が近い!!
『だ…大丈夫…////』
「それならいいんだけど…。あ、もうこんな時間…早く帰んねぇと…」
時計を見ると、お使いを頼まれた時間から、だいぶ経っていた。
「じゃあな」
有沢くんは、僕に手を降って帰って行った。
『…僕も帰らないと…』
僕は、子猫に餌をあげてから急いで帰った。
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