思わぬ罠

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僕達は今、少年の部屋の前にいる。 家族たちは寝静まり、家は物音一つしなかった。 「よし、行こう」 俺の合図で窓から部屋に入る。 少年を見ると、大の字をかきながら眠っている。 大丈夫。 辺りを見回し、みむが入っている虫かごを探す。 すると、B君が首を押さえ始め 「くっ苦しい」 と言い、突然倒れた。 「どうしたんだ?」 俺はB君に駆け寄り体を揺さ振った。だか、反応がない。 次第に俺も苦しくなってきた。 やばい。 と思い、B君を担ぎ一端外に出た。 何だ?この苦しさは? 大きく息を吸い、苦しさがとれるのを待った。 相変らずB君は、ぐったりしていた。 いったいなぜ? そう言えば、あの煙りを吸ったとたん苦しくなった。きっと、あれが原因に違いない。 そうだとしたらやばい! B君は 「なんだこの煙は?」 と言いながら直に吸ってしまった。 人間め。こんな罠を仕掛けるとは。俺の人間に対する怒りは増す一方だった。 B君の様子を伺う。 大丈夫。軽くだけど息をしている。 「よかった」 安堵の息が漏れる。 ふと、あることに気付く。 やばい。みむが死んでしまう。 安心している場合ではない。急いで助けださなくては。 いを決して、再びの部屋に入る。暗くてよく見えない。急がなければ俺の命も危ない。よーく目を凝らし辺りを見る。すると、緑の虫かごが微かに見えた。 「あった」 思わず大声をあげてしまった。少年を見ると、気持ちよさそうに、いびきをかきながら眠っていた。 ふぅー。セーフ。 滴れてくる汗を拭い、虫かごに近寄っていく。だんだん苦しくなってきた。 虫かごの前に着き、 「おーい。助けに来たぞ」 と言ったが、返事は返ってこない。やはり、あの煙のせいでみむも倒れていた。 急がなければ… 虫かごのフックを開け、中に入る。 「今出してやるからな」 と言い、みむをおんぶして外に向かった。 だが、俺も大量の煙を吸い、意識が朦朧としていた。ダメだ。俺がここで倒れたらみむと俺は死んでしまう。 必死で飛んだ。飛んで飛んで、ひたすら飛び続けた。 だが、飛べてはいなかった…… あと少しのところで俺は力尽きていた。
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