0人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
少年の後を追い続けると、一つの家にたどり着いた。
「ただいま」
と少年が元気よく家に入っていく。
俺とB君は家の中が見通せる木に停まって様子をうかがった。
少年が嬉しそうに捕まえたみむを家族に見せた。
少年は乱暴で、虫かごをブラブラさせ、そのせいで、みむの体が虫かごに当たる。だんだん、弱まっていくみむ。
時折、悲鳴すら聞こえてくる。
苛立っていた俺は、
ミーンミーンと大きく鳴いた。
「静かに」
と、B君が俺をなだめる。
「今、僕達が見つかり捕まったら誰がみむを助けるんだ」
真剣にB君が俺に訴えかける。
「すまない」
俺は怒りを我慢して鳴くのをやめた。
「いいか?よく聞くんだ。夜みんなが寝静まった頃、虫かごを開ける。簡単だろ?」
B君が僕に言った。
「確かに。それなら確実にみむを助けだせる」
だが、ぐったりしているみむを見ると、今すぐにでも助けだしたかった。
でも、今焦ってせっかくのチャンスを棒に振るわけにはいかない。俺の気持ちを察したB君は、俺の肩に手を置き力を込め
「安心しろ。必ず成功する」
と、言った。
頼もしいB君の言葉に
「うん」
と俺はうなずいた。
俺は、こんな素晴らしい友達をもてて、すごく嬉しかった。
そして、夜が来た。
最初のコメントを投稿しよう!