Moon iris

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夜になり、ようやく火の手も収まりつつあった 村…だった場所…から少し離れて、テッドは、横に寝かしたアイリスの隣に座っていた 頭の中が、ぐちゃぐちゃに混乱している 整理しようとしたら、全身が凍りつきそうな程の寒さに襲われた 「ん…」 アイリスからの、かすかな声 「!アイリスっ!?」 テッドは慌てて、アイリスの顔を覗き込む 彼女の瞳が、ゆっくりと開いていく 「テッド…」 「良かった…このまま起きなかったらどうし…」 「ごめんね…」 アイリスの顔は、笑っていなかった 「どうし…」 テッドの言葉をさえぎって 「ごめん…ごめんなさい…」 起きあがり、視線を下に落としながら、彼女はただ、「ごめんなさい」と繰り返す 「…やめてよ…」 呟くように言い、テッドはアイリスの肩に手をかける 「それじゃあまるで…」 そのまま肩を持ち上げようとするが、手が震えて力が入らない いや、手だけでなく、全身が震えていた (この火事が…) 言ったつもりの言葉は、形になっていなかった 「この火事は…」 まるでテッドの頭の中を読むように、アイリスが言う (それ以上言わないで…そんなわけない…そんな…) 「私の…」 再び、凍りつくような寒さが、テッドを襲う (やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて) 「私のせいなの!」 その一言を聞いた瞬間、 テッドは 自分が 本当に 凍りついたのだと思った
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