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きらびやかな街
その中を、俺は一人歩いていた
今日は12月24日
クリスマス・イヴ
楽しそうに笑い合うカップル達を横目に、通りを歩く
(クソ、どいつもこいつも…)
なるだけ周りを見ないように、下を向いて歩く
ふと、肩が、何かにぶつかった
とりあえず、視線を上げる
「あ…ごめんなさい…」
…天使がそこにいた
嘘じゃない
真っ赤な目をして、白い服で、…とても綺麗で
思わず見惚れる
その間に、彼女は、人ごみに消えた
我に返って、彼女を探すが、姿は見えない
(クッ…)
迂濶な自分に後悔し、視線を落とす
と、そこに、何かキラキラした物があった
拾ってよく見ると、それは、十字架の飾りのついた、ペンダントだった
考えるより先に、体が動いていた
人ごみをかきわけて、進む
どこもかしこも、イルミネーションのおかげで眩しい
けれど彼女はみつからない
まばゆい綺麗な光の中を、みっともなく汗だくで、息を切らして走る
さっきぶつかった人の、怒鳴る声が聞こえる
悪いが気にしている暇はない
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