Angel of Christmas

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ふと、イルミネーションが切れ、穏やかな夜の空間になる 気が付けばそこは、郊外にある公園だった とりあえず、息を整え、前を見る そこに、背を向けた一個のベンチ そして、わずかに揺れてる、細い背中 ゆっくりと、近付く 「あのっ」 背中が一瞬、ビクリと震えて、こちらを向く 間違いなく、彼女だった 相変わらず真っ赤な目で、キョトンとこちらを見ている 「こ、これ…」 手に持っていたペンダントを差し出す 心臓がドクドクいっている 彼女はペンダントを見て、明らかに無理矢理な笑みを浮かべた 途端、全身の血の気がサアッと引いた 「あの…もしかして」 間違えた?、と続けようとした言葉が、彼女に遮られる 「あ…違うの…ただ…これ…カレ…さっきフラれたけど…にもらった物なの…」 それから俺は、彼女の話を聞いていた その彼との出会い…思い出…そしてフラれるまでの話 とりあえず、そいつはバカだと思った だって、こんなに… 「綺麗な人を…」 「え?なに?」 聞こえたらしく、彼女がこちらの顔を覗き込んでくる 「い、いや、何でもない」 そして彼女が何か言うより早く、 「な、何か買ってくる!」 その時の時刻、午前0時過ぎ クリスマスが俺にプレゼントしてくれたのは 「出逢い」だった
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