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僅かに揺れながら、流れる視界。
足元で、リズミカルに音がする。
もうどれくらい走っているだろう。
相変わらず、声は頭の中に響いてくる。
息が荒い。
足が痛い。
汗で服が張り付いて気持ちが悪い。
でも、
「行かなっっ?!」
突然、体がバランスを崩して、いろんな所を打ちつける。
「っ痛ー…」
痛みをこらえながら何とか起き上がり、階段に腰掛ける。
幸い、足は捻っていない。一呼吸して、痛みを治める。
もちろん、完全に、ではない。
それでも、
「…行かなきゃ。」
呼んでいるから。
待っているから。
そしてまた、昇り出す。
…会いに、行くから。
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