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もう、どれくらい昇っているだろう。
体は汗だくで、フラフラする。
打ち付けたあちこちが痛い。
と、突然、目の前がグニャリと歪んだ。
驚いて、足を止める。
階段数段を残した先が、歪み、混ざり、変化していく。
そして、そこはホールになった。
その中心に、人が立っている。
(彼だ)
考えるより先に、体が動く。
さっきまでの疲労が嘘のように、体が軽い。
(早く、早く、早く)
必死で走る。
彼が振り向く。
手を、差し出す。
そして、その手を掴んだ瞬間…
唐突に、まばゆい光が辺りを覆った。
急激に、意識が遠のく。
その中で。
「やっと、会えたね。」
確かに、彼は言った。
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