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木々の隙間を縫って朝日が差し込み、彼に光を落とす。
久しぶりの野宿に少しだけ身体に痛みが走る。
「………」
重たい瞼を開けて彼は差し込む光を見上げた。
「…サンジ」
小さく呟いた名前はいつも隣にいたハズの人の名前。
気がつけば隣にいた人の名前。
だが、今はいないのだ。彼の隣に“サンジ”という人物は………
カレは彼の傍からいなくなった。
離れることを彼が選んだから。
彼がその時に気づけなかったから。
良くある話で、いなくなってはじめて“なくてはならない存在”なのだと…気づいたのだ。
はじめに『行かない』と言ったのは自分だったのに、だ。
それでも彼はカレに会いたくて、カレが必要で………
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