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だから、彼はカレと共に過ごしてきた場所を離れた。
カレの後を追う為に…
『アンタが行かないって言ったのよ。』
背中に投げられた声にビクッと肩を上げてから彼は静かに目を閉じた。
『バカねはじめからついて行けばよかったのに…』
隣へ並ぶ少し背の低い彼女へ目を向ければ彼女も彼を見上げていた。
少ししてから彼女はイタズラっぽい笑みを向けながら“サンジ君が居なくて寂しくなった?”と
それに彼は耳まで真っ赤になりながら“そんなわけあるか!!!”と、本当に彼は気持ちを誤魔化すのがヘタだと彼女は思う。
その上鈍い。
そんな彼が可愛いと、好きだと彼女は思う。
恋愛感情ではない。家族愛のようなそんな愛情。
優しい笑みを浮かべてから彼女、ナミはゾロの手を握った。
『迷子にならないでしっかりサンジ君のとこへ行くのよ。そんでもっていつか二人でここへ帰って来てね。ゾロ』
ぎゅっと強く握られた暖かな手。
本当は離したくないと強く握る手にゾロはもう一方の手を重ねて目を閉じた
『約束する』
『……うん』
名残惜しそうに離れる手を見送ってからゾロは歩き始めた。
『まずはまっすぐに北に行きなさい。サンジ君は始めにソコに行くって言ってたわ』
どうせ街の名前を言った所でゾロは覚えやしない。
せめて間違った方へは行かないようにと投げた言葉にゾロは背をむけたまま手をふる。
この先彼は違う方向へ行ってしまうかもしれない。でも、はじめの向きはあっている
きっと二人は巡り会える。
そう信じてナミは自分の家へと急ぐ。
彼がカレの元へ向かっているとカレへ手紙を出す為に。
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