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彼はゆっくりと身を起こし、大きく伸びをしてから荷物をまとめ、近くを流れる小さな川へ行きバシャバシャと激しい水音をたてながら彼、ゾロは顔を洗った。
『ふぅ……』
顔を上げ軽く左右に首を振り水気を弾いてから彼は空を見上げた。
先程いた場所では葉が遮り空が見えなかったがここは木々が開けていて空がよくみえた。
青く澄み切った空にゆっくりと白い雲が流れている。
数秒それを見つめていただけだが、とても長い時間空を見ていたように感じた。
『さてと……』
荷物を肩にかけ彼は立ち上がると歩きだした。
カレの元に行く為に。
諦めて元いた場所でカレの帰りを待つ事も考えた。
だが、ゾロは帰り道を知らないのだ。
もともと方向音痴で目的地になんて着けた事などないに等しい。
でも、これが目的地と言っていいのかはわからないが、たった、たった一度だけゾロは誰よりも先にカレの元にたどり着いたのだ。
たった一度だけだが
今、ゾロが向かうその先ににいるカレの元にたどり着けたのだ。
幼い頃、ゾロとカレが出会って間もない頃の話になるが…ゾロはサンジを見つけ出した。
『迷った。連れて帰れ』
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