出会いは風

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受け取った茜を覗き込むようにして、藤森は言葉を紡いだ。 「あんた、吸血鬼は信じるかい?」 整った顔が、にやりと歪む。 一瞬のフリーズから、再起動して画面が立ち上がるまで、おおよそコンマ二秒。世界新記録だ!じゃない! 吸血鬼ってあれですか? 人の血ちゅうちゅう吸って、日に弱くて、ニンニクだめで、色が白くて不健康そうなモンスターのことですか?あの死人の? 「まぁ、吸うけど、数滴だな。俺は、餃子食うぜ?血だけじゃ栄養偏るだろ?確かに取らなきゃやばいぐらい飢えるけど。俺が死人に、不健康そうに見えるか?あ、言うまでもなく日は迷信だな。」 てか貴方が吸血鬼か! 「どうかしたか?」 不思議そうな顔をした藤森は、茜をのぞき込む。
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