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「宮川茜が、藤森と接触しました。」
西日が入り込んだ薄暗い部屋に南はいた。
目の前にいる女帝のような女を目にして顔色を変えないのは、この蓮木有数といえど、南とあとはあの御曹司ぐらいだろう。
逐次の報告に無関心そうに爪をいじっていた女帝は、そう?と呟いただけで、またつまらなそうに爪をいじりだした。
「では失礼します。また、後程お伺い致します」
かつての蓮木の花に一礼をすると、その重たい扉を押した。
気まで滅入るような重たい扉は、おもったよりも軽く開く。幾分か軽い外の空気に早く触れたいと早足で部屋を後にした。
まだ採光のあるガラス張りの廊下を歩く。
「なんの、企みだ?」
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