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何も言われずに、連れて来られた茜は、その建物を見て唖然となったのは言うまでもない。
だが問題の美形の男は、それにびびるでもなく近づいて行く。それを見て一真を何度止めようと思ったことか。
しかし、考えてみれば、奴は金持ちのボンだった。
奴に警備員が近づいてくる。いかつくて、取っ付きにくいオーラを漂わせた黒服だ。
「おかえりなさいませ」
「柄が悪い。もっと愛想良くしたらどうだ?」
「致し方ありません。生まれながらの人相までは変えられません。それはそうと一真さま、そのお方はどなたでございましょう?」
ごついわりに、丁寧な言葉遣いの男がこちらをみる。
……つーかこの流れ的に、ここは奴の……。
「ああ、俺の恋人だ」
は?
意味が全くわかりませんが?
誰が、恋人だ?
警備員らしき奴もきょとんとしている。
しかしすぐに表情を取り繕うと茜に向かって笑った。
「ようこそ、藤森へ」
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