藤森一族?

4/25
5676人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
何も言われずに、連れて来られた茜は、その建物を見て唖然となったのは言うまでもない。 だが問題の美形の男は、それにびびるでもなく近づいて行く。それを見て一真を何度止めようと思ったことか。 しかし、考えてみれば、奴は金持ちのボンだった。 奴に警備員が近づいてくる。いかつくて、取っ付きにくいオーラを漂わせた黒服だ。 「おかえりなさいませ」 「柄が悪い。もっと愛想良くしたらどうだ?」 「致し方ありません。生まれながらの人相までは変えられません。それはそうと一真さま、そのお方はどなたでございましょう?」 ごついわりに、丁寧な言葉遣いの男がこちらをみる。 ……つーかこの流れ的に、ここは奴の……。 「ああ、俺の恋人だ」 は? 意味が全くわかりませんが? 誰が、恋人だ? 警備員らしき奴もきょとんとしている。 しかしすぐに表情を取り繕うと茜に向かって笑った。 「ようこそ、藤森へ」
/201ページ

最初のコメントを投稿しよう!