藤森一族?

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大体おかしな話だよなと自分自身に言い聞かせてみる。吸血鬼いいだしたらいくら美形の一真が相手でも普通は、笑い飛ばすか、引くかどちらかだと思うのに、信じてしまっている茜がいる。確固たる証拠がないぶん、真実をがむしゃらに説明されないほど、一真が吸血鬼だと確証するようだった。 どちらにしろ、吸血鬼にせよ、一真は悪い奴ではない。 しかし、いかんせん、この状況が特殊すぎる。 そんなことを考えていると、広間のようなところに案内された。 「茜、よけろ!」 中に入った瞬間、一真は叫んだが、避けろと言われて避けれるものじゃない。 がつんと鈍い音が響いて、これは死んだなと冷静考えていると、次にくるはずの痛みがこない。 閉じた目をゆっくりと開いてみる。 「これくらい、避けられなければ、藤森には嫁にこれないぞ。」 と、厳しい言葉に反した浮かれた声。その鉄パイプの襲撃をくい止めたのは、一真の腕だ。いつ移動させられたのかわからない。
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