5676人が本棚に入れています
本棚に追加
/201ページ
「父さん、茜は普通の人間です。僕らと違うんですよ!」
それより腕は大丈夫なのかと、目を見開く。
「腕!」
茜がそう叫ぶと、一真は、何事もないかのように手を振った。
「言ったろ。吸血鬼だって。少なくとも、茜なんかよりずっと丈夫だ。しかし、父さん、悪ふざけはやめてください。全く、紹介もくそもないじゃないですか。こちら、宮川茜さんです。」
そうじゃないだろうと内心で呟く。
何事もなかったかのようにいう一真は、父と呼ぶ鉄パイプを持った人物に茜を紹介する。
「申し訳ない。ただの悪ふざけだ。茜くん、私は、藤森銀。一真の父だ。」
銀は、28の一真の年にふさわしくない若さの父親だった。これがかの有名なホテル王藤森銀だというのだから驚きである。
それを皮切りに、不思議な家族が流れ込んできた。
最初のコメントを投稿しよう!