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藤森一族の家族構成は、父、銀。母、弥生。長男、一真、次男、晴(はれる)。長女、空(そら)。次女、雪(ゆき)。
それはそろいもそろって美形で。
なぜか、いきなり開かれた晩餐に参加した茜は、あれよあれよと、藤森のペースに巻き込まれていった。
もちろん血生臭い晩餐ではない。人間が食べるような料理が運ばれてきて、これまた人間が好むようなおいしそうな匂いを発していた。
家族の紹介が終わると、ようやく目の前に並べられた料理を口にする。すこし、びくびくと警戒しながらだったのは周りが吸血鬼だという不安があったからにちがいない。
一真の事前説明では、この家族は、すべて吸血鬼と言うことになる。それが茜の前で肉をつまみ、野菜を食べ、ワインを飲む。
「どうなってんだ?説明は?」
茜はなかなか本題にはいらないいらだちと、本当はただの人間なんじゃないかという思いを秘めながら、横にいる一真をつついた。
「食事ぐらいゆっくりとれないのか?それとも食えないか?」
笑いながら小声で返してきた一真に、次女の雪が反応する。
雪は、茜の五つ下で今年、高校二年だ。かわいらしい愛嬌のある顔立ちをしている。
「一にい、結構嫌われてるんじゃない?茜さん、“あれ”なんでしょ。なら、花嫁に迎えるべきだわ。私も普通のねぇさんがほしいし。」
そういうと雪は、長女、空をみた。
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