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食事が終わって、珈琲でもとなると、柔らかな口調で説明してくれたのは、先ほどパイプで襲いかかった銀である。
掻い摘んで話せばこういうことだ。
蓮木財閥は狩人であるから、吸血鬼を死に至らしめることのできる茜の血は、商売道具として必要なものらしい。喉から手がでるほど茜を手に入れたいわけだ。それがつい先日の南達の迎えだった。
一方、藤森には茜は驚異であると同時に、古くからの習わしで、吸血鬼の子を成すことのできる唯一の人間“華”とよばれるものらしく、こちらも喉から手がでるほどほしいのだという。
これがあれの正体。
蓮木に行けば解剖され監禁され死ぬまででれないが、藤森に居る間は、身は安全だというのだ。話の上ではだが。
そりゃそうだろう。血を吸ったら死ぬのだから。
信じるか信じないかでいうと半々。吸血鬼は信じたとしても……巻き込まれた理由までは理解できない。
しかも、華ってなんだよ。
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