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耳打ち少しぼーとしていると、雪がでていってすぐに、ノック音がする。
「入るぞ。」
顔を覗かせたのは誰でもない、一真だった。
「本当に来たよ。」
と呟くが、一真には聞こえていなかったようだ。
「何?」
「奥までいっても?」
「どうぞ。」
さっき、雪から耳打ちされたことが耳から離れず、少しどもったが、まぁ仕方ない。
あんなことを言われれば、こうなることは必至だろう。頭の中の思考をなるべく考えないようにしようと、一生懸命仏頂面を作ってみた。
部屋に入ってきた一真はラフな出で立ちで、黒の半袖ニットに、ジーンズという姿だった。
ラフになってもその美しさは変わらない。
さほど美形なるものに興味のない茜が見とれそうになるぐらいの容姿だから、他の人にしてみたら大変なのだろうなと人事のように考える。
「風呂は?」
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