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 気付くと朝焼けのオレンジ色の光が僕を包み込んでいた。ゆっくりと立ち上がると、そばにあった切り株に腰を下ろした。そして、ほっと息をつき視線をおとすと、老婆のおむすびが目に入った。突然僕は激しい空腹感を感じた。  眼下には、先ほどは見えなかった隣村がすぐ下にみえていた。僕は心に気持ちの良い爽快感を感じながら、切り株から立ち上がると、隣村に通じる下り坂を軽快に走り降りていった。なぜか無性に笑いたくなって、大声を出して笑いながら走り続けた。手に「まりもっこり」を握り、涙を流し笑いながら走り続ける僕は、とても変に見えたに違いないだろう。すがすがしい朝の空気の中で朝焼けのオレンジ色に染まる山々に、僕の笑い声がこだましつづけていた。
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