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肌を刺すような冷たい風が小さな雪の塊を運びながら、クリスマス一色の小さな街を賑わせていた。
いつもは夜に人気のない公園にこれでもかと言わんばかりのカップルたちが、一人寒そうにしている彼女に追い討ちをかけた。
「今日は降らないって言ったじゃない……」
どこか悲しみに満ちた目で彼女はベンチに座ると、顔を覆うようにマフラーを動かす。
無情にも強くなった風と雪とがそんな彼女にはより一層強く感じたのだろう。
「バカ……」
一言だけつぶやくと、また相も変わらず黙りこんだ。
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