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堕天使
堕ちていく僕は
必死に飛ぼうとした
翼が欲しくて
背中に鋼の翼を刺した
けれどやっぱり
地に足がついたまま
背中からは血が溢れ
落胆に膝を沈めながら
ただ泣き叫んだ
この世界から飛び出して
負った傷を癒し
失った物を取り返す
そのためなら何だってできるのに
その選択肢さえ与えてはくれない
このまま堕ちていく事しか
できないのか?
光を求めるように
手をのばして
灰色の空を掴んだ
恨めしい程広い空は
見下すかのように
僕に汚れた雪を落とし
風を導く
背中から流れる血が
唯一僕の生きている証となり
僕の存在を痛々しく示していた…
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