堕天使

1/1
前へ
/49ページ
次へ

堕天使

堕ちていく僕は 必死に飛ぼうとした 翼が欲しくて 背中に鋼の翼を刺した けれどやっぱり 地に足がついたまま 背中からは血が溢れ 落胆に膝を沈めながら ただ泣き叫んだ この世界から飛び出して 負った傷を癒し 失った物を取り返す そのためなら何だってできるのに その選択肢さえ与えてはくれない このまま堕ちていく事しか できないのか? 光を求めるように 手をのばして 灰色の空を掴んだ 恨めしい程広い空は 見下すかのように 僕に汚れた雪を落とし 風を導く 背中から流れる血が 唯一僕の生きている証となり 僕の存在を痛々しく示していた…image=96700786.jpg
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加