通夜

2/2

143人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
遠くから泣きじゃくりながら、両親に引きずられるようにして男子が俺の前に来た。 そう、運転していた男子だ!俺も昔から知っていた。だけど許せない………自分の手が震えた。 でもそいつを見たら胸が張り裂けそうになった。「本当にごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい ごめんなさい 僕は生きてしまって 逆でごめんなさい ごめんなさい」 泣きながら土下座をしてきた。 彼もまた同級生で弟の一番の親友だった。 彼が一番苦しいのかもしれない… 大切な友達を自分のせいで四人も亡くしてしまったのだから。この会場に来るのも怖かったろー 自分は助かってしまった、罪悪感 。 18歳の男の子が、その苦しみ四人分の未来を背負っていかなければいけないのだから。 それを考えたら何も出来なかった。きっと本当に自分も死にたいと思ったろー… 今まで一緒に笑いあい 助け合い 励ましあい 時には喧嘩もした仲、その友人を自らの手で亡くしてしまったのだから… … … 俺は彼を抱き抱え、泣きながら 「おまえが頑張らないと勇太が悲しむぞ!!」 会場に響き渡る声で叫んだ。 勇太はきっと彼を責めていない。 親友の状況のほうが、心配してるんじゃないかと心に思った。 おやじもおかんも泣きながら彼を許した。 おやじが喪主をした。おやじは必死で、涙をこらえながら 拳を握り締め挨拶をした。 「これだけ多くの人が来て下さって本当にありがとうございます。生前の勇太は、友達と遊ぶ事が大好きでとても心の優しい子でした。息子ながら私は誇りに思います。ついこの前、おやじ居酒屋いこうか? なんて話したりしていつの間にか大きくなったなーって思い、息子達とお酒を飲める事を楽しみに今までやってきました。それがこんな結果になってしまって……。 棺の中の勇太を見ても昼寝してるぐらいにしか見えず、今にでも起きてきそうな寝顔をしています。」 おやじは頑張った 溢れる涙を拭いながら語った。 同級生代表で、勇太に語ってくれた男子‐「俺は勇太のお陰で学校生活楽しくやってこれた。 いつでもリーダー的な存在で、男女問わず面白 おかしくやってくれた。勇太は俺にとっての永遠のヒイローです…」言葉に詰まりながらも勇太に話してくれた。 皆の気持ちがありがたかった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

143人が本棚に入れています
本棚に追加